スペシャルインタビュー

高度治療に特化した医療で新たな街づくりに貢献する「いまきいれ総合病院」

2021年(令和3年)、「鹿児島市交通局跡地」で開発が進められている「キラメキテラス」に移転開院し、急性期病院としてすでに機能する「昭和会 いまきいれ総合病院」。今回は、高度な医療人材、最先端の医療設備を有し、「24時間の救急医療」を掲げる同医院の今給黎理事長に病院の歴史や理念、今後の展望などについてのお話を伺った。

「いまきいれ総合病院」
「いまきいれ総合病院」

80年以上の歴史をもつ、地域の総合病院

――いまきいれ総合病院の成り立ちを教えてください。

今給黎理事長: 当院は、私の祖父が1938年(昭和13年)に下竜尾町で外科診療所を開業したのが始まりです。その後、戦中戦後のなかも規模を拡大し、1989年(平成元年)には総合病院の認可を受けました。しかし、度重なる増改築で外来専用クリニック棟、入院別棟など通路を隔てた施設の分散立地による作業効率の低下が問題として浮上します。

現地建替なのか、それとも新築移転なのか。私の父(2代目)や叔父(3代目)の頃から検討を重ねた結果、2016年(平成28年)に「鹿児島市交通局跡地」を取得する目処が立ち、2019年(令和元年)に着工、2021年(令和3年)に開院の運びとなりました。

――診療科目、病床数についても教えてください。

今給黎理事長: 内科、外科、産科、小児科、皮膚科、放射線治療科、救急科など30診療科を集約し、紹介型の外来を中心に拡充整備しました。また、日本社会の少子高齢化を鑑み、一般病床は以前、上町(かんまち)地区にあった頃の450床から、350床にダウンサイジングしました。なお、今も上町地区の施設には100床残し、「上町いまきいれ病院」として機能させています。

「公益社団法人昭和会 いまきいれ総合病院」今給黎 理事長
「公益社団法人昭和会 いまきいれ総合病院」今給黎 理事長

“つながる”をキャッチコピーに医療提供

――キャッチコピーに込められた想いをお聞かせください。

今給黎理事長: 当院では「つながる医療、つながる生命(いのち)」をキャッチコピーに掲げています。ここには地域のセンター病院として開業医、鹿児島県特有の離島からの要請を24時間断らない医療体制を構築してきた、私たちの決意が込められています。

また、今回の「キラメキテラス構想」では隣に「キラメキテラスへルスケアホスピタル」も移転してきました。急性期の「いまきいれ総合病院」から慢性期の「キラメキテラスへルスケアホスピタル」までシームレスに医療をつなげる、という意味もあります。

――特にに注力される活動について教えてください。

医師・看護師も同乗するドクターカー
医師・看護師も同乗するドクターカー

今給黎理事長: 今回の移転では救急医療・がん医療・周産期医療の3つの柱を掲げています。中でも、救急医療は移転前からの柱です。先ほどもお話しした通り、当院では開業医や離島からの要請は24時間断らない医療体制を整えてきました。院内では救急担当医と各診療科が協力体制を構築し、院外では他の医療機関や救急隊との連携を強化することで、心肺停止や脳卒中、多発外傷など3次救急疾患も24時間受入れることができます。

ロボット支援下手術「ダビンチ」
ロボット支援下手術「ダビンチ」

また、がん医療に関しては、高齢化社会の日本で「2人に1人ががんになる」と言われるなかで、がん医療の需要が高まることを見越して体制を強化しました。各大学の協力のもと、ダビンチをはじめとした最先端医療機器での手術を施行できるようにしたり、放射線治療や検査機器に従来よりも短時間、かつ被曝量の少ないものを導入したり、と患者様の負担を軽減しつつも、高度な医療を提供できるよう努めています。

NICU退院後の子どもの発達や成長を見守る支援センター「まぁる」
NICU退院後の子どもの発達や成長を見守る支援センター「まぁる」

周産期医療については、昔から県をあげて推進しており、「鹿児島市立病院」が超急性期の治療を、当院はその後方支援として自宅に帰るまでの準急性期的な治療を担ってきました。そして現在は、市立病院と当院、そして大学も連携し、正常からハイリスク妊産褥婦まで幅広く受入れられる体制を整えています。なお、当院ではNICU退院後も子どもの発達を支援しともに成長を見守る場、いまきいれ子ども発達支援センター「まぁる」が2022年4月にオープン予定です。

――今後、新たに挑戦したいことはありますか。

今給黎理事長: 国が推奨する「健康寿命の延伸」を実現するには、予防医学が重要と考えます。これからはどの病院も、日常的な健康づくりへのサポートが求められるわけです。そこで、これまでは急性期を担当してきた当院ですが、これからは「キラメキテラスへルスケアホスピタル」とも協力し、検診事業にも積極的に関わろうと思っています。

アトリウム(隣接病院との連絡通路)
アトリウム(隣接病院との連絡通路)

災害時には避難場所としての機能も整備

――今回の新たな街づくりの役割も教えてください。

今給黎理事長: 今回は単なる病院移転ではなく、「キラメキテラス構想」と呼ばれる新たな町づくりに参画するものです。同構想では今、日本各地で人口減少や地域コミュニケーションの希薄化などが問題視されることから、「ヒューマンライフライン(多世代が支え合う仕組みづくり)」をひとつの方針として打ち出しました。中でも、当院は医療提供に加えて、市民講座を開くなど「健康づくり」の面で貢献できればと考えています。

――各施設がテラスでつながっていると伺いましたが。

今給黎理事長: 当院を含めた、各施設は1階から2階レベルまでの高さが6mで統一され、「歩行者専用テラス(キラメキテラス)」でつながっています。これは利用者が施設間を移動する際に便利がいいだけではなく、施設全体に防災機能を持たせるものです。

ここの北側にある「甲突川」は、1993年(平成5年)の集中豪雨のときに氾濫しました。また、東側の火山島「桜島」を含め、大規模地震では津波の恐れもあるため、将来こうした災害が発生したときには、施設全体が一時避難所として開放されます。その際、当院や「キラメキテラスへルスケアホスピタル」は医療を、サービス棟に入居予定のスーパーマーケットは食料備蓄を、と各施設で協力できるよう話を進めているところです。

上町(かんまち)地区の病院絵画前
上町(かんまち)地区の病院絵画前

医療で地域コミュニティ創出に寄与する

――キラメキテラス周辺の環境についてはいかがですか。

今給黎理事長: ここのロケーションはJR九州「鹿児島中央」駅からまっすぐ甲南通りや二中通り、そして「甲突川」のリバーサイドを通じて行き着けるつくりです。とくにリバーサイドは緑地整備も進められていて歩くだけでも気持ちのいい空間なので、「鹿児島中央」駅から散策しながらキラメキテラスにいたるような人の流れを生み出せればと考えています。

――理事長先生が個人的に好きなスポットはありますか。

今給黎理事長: 私は大学時代、福岡にいたのですが「鹿児島に帰ってきた」と感じるのはやはり「桜島」を目にしたときです。また、学生時代から競泳を、社会人になってからはウィンドサーフィンもしていて、「錦江湾(鹿児島湾の別名)」にはよく立ち寄ります。ちなみに、今年はコロナで中止となりましたが、例年7月には「桜島」から市街地までおよそ4.2キロを遠泳する「桜島・錦江湾横断遠泳大会」も開催されているんですよ。

――新しくこの地域にお住まいになる方に、ひと言いただけますか。

今給黎理事長: 昔は学校を中心としてコミュニティはできていましたが、今の少子高齢化社会でそれは難しく、今後は医療・介護・福祉がその役割を担うことになるでしょう。そこで、医療を担う当院では新たなコミュニティの創出に向けて積極的に取り組み、多世代が関われる、地域の活性化につながるような街づくりに寄与できればと思います。

理事長 今給黎 和幸先生
理事長 今給黎 和幸先生

公益社団法人昭和会 いまきいれ総合病院

理事長 今給黎 和幸先生
所在地:鹿児島県鹿児島市高麗町43-25
電話番号:099-252-1090
URL:https://imakiire.jp
※この情報は2021(令和3)年12月時点のものです。

\ 私が紹介しました/

admin